静岡パルコ前の歴史ある神社『小梳神社』—徳川家康ゆかりの地
2025年1月9日、静岡市中心部に鎮座する小梳神社を訪れました。静岡シネ・ギャラリーで上映されていた銀河鉄道999 4K REMASTERを見る前に少し時間があったので立ち寄りました。静岡駅から徒歩圏内という立地でありながら、歴史と文化が息づく神社です。徳川家康や駿府との関わりを感じながら、参拝者を温かく迎える落ち着いた雰囲気が印象的でした。
詳細・基本情報とアクセス方法
基本情報
- 名称:小梳神社(おぐしじんじゃ)
- 住所:静岡県静岡市葵区紺屋町7-13
- 参拝時間:終日可能
- 駐車場:なし(周辺にコインパーキングあり)
アクセス
公共交通機関の場合
JR静岡駅北口より徒歩約7分
車の場合
東名高速道路「静岡IC」から約15分
地図
由緒・御祭神・ご利益
歴史と由緒
小梳神社の起源は詳しくはわかっていませんが、もともとは現在の静岡県庁の東側、「小梳(おぐし)」と呼ばれる場所に鎮座していました。この神社の名前は『延喜式神名帳』(平安時代に編纂された神社のリスト)に「駿河国安倍郡小梳神社」と記されていることから、1000年以上の歴史を持つ格式ある神社であることがわかります。
また、古い記録では「正五位下安倍郡小楠神社」とも呼ばれ、『惣国風土記』には「素盞嗚尊(すさのおのみこと)と奇稲田姫命(くしいなだひめのみこと)を祀り、本殿の下から湧き出る霊水がある」との記載が見られます。この霊水の存在から、小梳神社は「少将井神社」とも呼ばれるようになったと言われています。
江戸時代には、徳川家康公が幼少期に今川家の人質として住んだ際、武運長久を祈願したと言い伝えられています。その後、家康公が天下統一を成し遂げた後に、徳川家の守護神である大巳貴命(おおなむちのみこと)と天照大神(あまてらすおおみかみ)を合祀して「少将井五所大神宮」と名を改めました。この由緒は、家康公が命じた文書として現在も残されています。
現在の場所に移転したのは江戸時代中期の延宝3年(1675年)のこと。駿府城(現在の静岡市中心部)の城域拡張に伴い、参拝がしやすいように現在の地に遷されました。
明治時代には郷社に列し、その後も度重なる災害や戦災を乗り越え、氏子や地域住民の努力によって復興が続けられてきました。今では、静岡市の文化財としても認められ、多くの人々に親しまれる神社となっています。
御祭神
建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)
日本神話において天照大神の弟神で、勇猛果敢な神様として知られています。厄除けや開運、家内安全を祈願する際に崇敬されています。
奇稲田姫命(くしいなだひめのみこと)
須佐之男命の妻神であり、稲作や農業を象徴する神様です。豊穣や家庭円満、安産のご利益があります。
相殿神
大己貴命(おおなむちのみこと)
大国主命としても知られ、国造りや縁結びの神様として崇敬されています。
天照皇大神宮(あまてらすすめおおみかみ)
日本の最高神として、太陽や自然界の恵みを司り、国家安泰や家内安全のご利益を授けます。
金山彦命(かなやまひこのみこと)
鉱山や金属加工の守護神で、工業やものづくりの発展を助ける神様です。
猿田彦命(さるたひこのみこと)
道開きの神様として旅や移動の安全を守護し、開運や事業繁栄にもご利益があります。
ご利益
- 建速須佐之男命
- 厄除け:災厄や不運を取り除く力を授ける。
- 開運招福:幸運を引き寄せ、人生を好転させる。
- 家内安全:家庭の平和や繁栄を守護する。
- 商売繁盛:事業や商業活動を後押しする。
- 豊穣祈願:農作物や自然の恵みを得る。
- 奇稲田姫命
- 豊作祈願:稲作や農業の成功を祈る。
- 家庭円満:家族の絆を深め、調和をもたらす。
- 安産祈願:母子の安全な出産を守護する。
- 子宝祈願:子供の授かりを祈念する。
- 大己貴命
- 縁結び:人と人との良縁を結び、家庭円満を祈る。
- 国土安泰:地域や国全体の平和や安定を守る。
- 天照皇大神宮
- 国家安泰:国家や地域社会の平和を守護する。
- 家内安全:家庭の調和と幸福を支える。
- 金山彦命
- 工業発展:ものづくりや産業の成功を助ける。
- 繁栄祈願:事業の成長と成功を支援する。
- 猿田彦命
- 道開き:新しい挑戦や目標に向けた道を切り開く。
- 旅の安全:移動や旅行の安全を守護する。
- 事業繁栄:商売や事業の発展を助ける。
境内の様子と雰囲気
鳥居
神社の正面には立派な石造りの鳥居が建ちます。
社務所側からの鳥居もあります。
手水舎
龍の口から水が清らかに流れています。偶然鳩が水を飲みに来たところに出会いました。手水舎で水を飲む仕草をし、実際に飲まないのはこのような衛生面が理由の一つです。
霊水少将の井
この地域は古来より湧水の清らかさで知られ、かつて神社の前を流れていた川は「清水尻川」と呼ばれていました。小梳神社は江戸時代に「小将井社」とも称され、「本殿の下に井ありて夫婦和合の霊水湧き出す」との言い伝えが残っています。この井戸の水は境内から汲み上げられ、「病気平癒」や「健康増進」の霊水として信仰され、多くの参拝者が「水取」に訪れることで知られています。
宗像神社
御祭神
- 市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)
- 湍津姫神(たぎつひめのかみ)
- 田心姫神(たごりひめのかみ)
御神徳
- 鎮護国家
- 皇室守護
- 航海安全
- 豊漁
祭礼
3月19日
「出世弁天」として芸能の神としても広く知られています。
稲荷神社
御祭神
- 宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)
- 保食神(うけもちのかみ)
- 稚産霊神(わくむすびのかみ)
御神徳
食物や農業など、産業全般の守護神として古来より信仰されており、商業、漁業、さらには商売繁盛や豊作祈願の神として広く崇敬されています。
由緒
小梳神社の稲荷神社は、かつて境内に祀られていた複数の稲荷神社を戦災後に一社へとまとめて合祀されたものです。そのため、「天空合家光稲荷」とも称されています。
祭礼
- 春祭:3月19日
- 秋祭:9月19日
新庄道雄の碑
境内には静岡市指定文化財「新庄道雄の碑」が建てられています。この碑は、江戸時代中期の学者である新庄道雄を称えるもので、和歌が刻まれています。幼いころから漢籍、天文、和歌などを親しんだとされています。個人的には天文がとても気になっています。
社務所
社務所では御朱印やお守りが授与されます。窓は締まっていますが、呼鈴があります。
御朱印
小梳神社の御朱印は、シンプルながらも格式高いデザインが特徴です。赤い朱印には神社の名称が記され、中央には手書きで「小梳神社」の文字が力強く書かれています。また、神紋が添えられており、神社の歴史や格式を象徴しています。受付は社務所で行われ、御朱印帳を持参するとその場で書いてもらえます。
まとめ
静岡駅から徒歩圏内にある小梳神社は、歴史的な背景と穏やかな雰囲気が魅力の神社です。徳川家康ゆかりの地であり、地域の信仰の中心として今も人々に親しまれています。静岡を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。