神社の真ん中に町の境界線!?焼津市柳新屋と小屋敷の八坂神社を歩く
焼津市には数多くの神社がありますが、その中でも特に珍しい特徴を持つのが柳新屋と小屋敷にまたがる八坂神社 です。左側が焼津市柳新屋、右側が焼津市小屋敷という立地になっており、一つの神社でありながら、二つの町に属している という非常に興味深い神社です。
今回の参拝では、偶然居合わせた方にお話を伺うことができ、神社の管理や地域の課題について知ることができました。
また、地域の方から 「神社は上(神)にあると言われる。柳新屋にしても小屋敷にしても、地域の上(隅)にある」 という興味深い話を聞くことができました。この八坂神社も地域の端にあり、知る人ぞ知る神社になっているのかもしれません。実際に私もよく利用する笑福の湯や西焼津駅に近いのに、今まで存在を知らずに通り過ぎていました。
詳細・基本情報とアクセス
基本情報
- 名称:八坂神社(やさかじんじゃ)
- 鎮座地:静岡県焼津市柳新屋1 / 小屋敷3-1
- 御祭神:須佐之男命(すさのおのみこと)
- 例祭日:10月15日
アクセス
車の場合
- 東名高速「焼津IC」から車で14分
- 東名高速「大井川焼津藤枝SIC」から車で13分
- JR西焼津駅から車で4分
公共交通機関の場合
- JR西焼津駅下車、徒歩10分
地図
由緒・御祭神・ご利益
由緒
八坂神社の創建年月は不詳ですが、かつては 柳新屋村字角田に鎮座していたとされます。
永禄年間(1558年〜1570年) に現在の場所に移転されたと伝えられており、1698年(元禄11年)の棟札には「牛頭天王社」と記されています。かつては「牛頭天王社」と称され、柳新屋・小屋敷それぞれに社領(一石)が与えられていましたが、明治時代の神仏分離を経て 八坂神社の名になりました。
- 1875年(明治8年) 村社に列格
- 1907年(明治40年) 神饌幣帛料供進社に指定
- 1968年(昭和43年) 現社殿が改築
御祭神
須佐之男命(すさのおのみこと)
災厄を祓う神として信仰される 厄除け・疫病退散の神。もともと「牛頭天王」とも習合されて信仰されていたため、現在の八坂神社の名称にもその名残が見られます。
ご利益
- 厄除け・厄払い
- 疫病退散
- 地域安全
- 五穀豊穣
境内の様子と雰囲気
鳥居
神社の鳥居をくぐると、拝殿まで参道が伸び、ここを境内に左側が柳新屋、右側が小屋敷に分かれています。境内に柳新屋と小屋敷があるのは予習して知っていましたが、まさか真っ二つだとは思いませんでした。
後でMapFanで確認してみましたが、参道を越えてピンをクリックすると見事に住所が変わります。
石灯籠と手水舎
鳥居をくぐると石灯籠と手水舎があります。石灯籠には「赤阪鉄工所」と書かれています。焼津市柳新屋には株式会社赤阪鐵工所 豊田工場があり、その赤阪鐵工所から奉納されています。八坂神社と赤阪鐵工所は柳新屋の隅と隅に位置しますが、このことから赤阪鐵工所が柳新屋という地域と、その氏神様を大切に考えていることが伺えます。
拝殿
現在の拝殿は 1968年(昭和43年)に改築されたものです。写真を見ると柳新屋側(左側)だけ増築しているのが分かると思います。雨樋を設置できない構造のため、落ちる水の影響で 地面が偏って沈んでしまう という悩みを抱えています。
本殿
本殿は拝殿の奥にあります。こちらも焼津に多いトタン壁です。
御神木
境内には 6本の御神木 があり、そのうちの数本は老朽化が進んでいます。
- 市の助成金を受けながら維持・管理
- 倒木を防ぐためにロープで固定しているものもある
- 立派な木ほど撤去・手入れに費用がかかる
津島神社
境内社。疫病除けの神として信仰されています。
小さな社
津島神社の裏手の御神木の根元には石製の小さな社がありました。地域の方に伺ったところ、「どこかで祀られていたものを持ち込んだのではないか」とのことですが、現在も参拝する人がいるため、撤去していないとのことでした。
地域の課題
お賽銭泥棒の被害
最近、焼津市内では お賽銭泥棒 の被害が増えており、八坂神社も狙われてしまったとのこと。防犯の対策も課題となっています。
御神木の管理
- 市の助成金を受けながら維持・管理
- 倒木を防ぐためにロープで固定しているものもある
- 立派な木ほど撤去・手入れに費用がかかる
修繕・維持管理の課題
- 町ごとに管理費用・予算が異なるため、片方の町内会だけが修繕することもある
- 拝殿の雨樋をつけられない構造のため、水が偏って地盤が沈む問題も発生
こんな方におすすめ
地域の歴史に興味がある方
江戸時代以前の由緒を持ち、町境に位置する珍しい神社の歴史を感じられます。
一度に複数の神社を巡りたい方
八坂神社と境内社の 津島神社 を合わせてお参りできます。
地域の課題や神社運営に関心がある方
町ごとに管理が分かれる珍しい運営体制や、御神木の管理問題など、普段あまり知ることのできない現実を学ぶことができます。
まとめ
八坂神社は 町をまたぐ珍しい神社 であり、柳新屋と小屋敷の住民がそれぞれ管理を担うというユニークな形で運営されています。
地域の方から聞いた 「神社は神だけに地域の上にあるから地域の隅にある」という話も非常に印象的でした。
歴史を感じつつ、地域の実情を知ることのできる八坂神社。ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。