参拝者への想いが伝わる前島神社 – 歴史と信仰を大切にする地域の社
静岡県藤枝市の住宅街を歩いていると、石灯籠が参道の入り口を静かに示しています。周囲にはマンションが立ち並ぶ現代的な景観の中で、前島神社は歴史ある信仰の場として、そして地域の人々の心の拠り所として大切に守られています。
2025年2月9日、はとばの朝活という月一フォトウォークで訪れました。熊野神社、八重枠稲荷神社に次いで3回目となる神社参拝。朝の清々しい空気の中、地域に根付いた神社の温かみを感じるひとときでした。特に印象的だったのは、参拝者への配慮が随所に見られる境内の工夫。歴史や由緒をわかりやすく伝える案内板や、神社の活動を記録する展示、ふりがな付きの説明など、幅広い世代に開かれた神社であることが伝わってきました。
詳細・基本情報とアクセス
基本情報
- 名称:前島神社
- 住所:静岡県藤枝市前島1-18-1
- 御祭神:木花咲耶姫命、弥都波都売神、宇加之御魂神
- 例祭日:10月18日
- 御朱印:あり(筆者未授与)
- Instagram:@fujieda.maejimajinja @maejima_jinja
アクセス
公共交通機関の場合
- JR藤枝駅から徒歩6分
- JR藤枝駅からバスで「前島神社前」下車、徒歩1分
車の場合
- 東名高速「大井川焼津藤枝SIC」から10分
- JR藤枝駅から3分
地図
由緒・御祭神・ご利益
由緒
- 1575年~1592年(天正年間):「浅間神社」として創建
- 1875年(明治8年):村社に列せられる
- 1878年(明治11年):近隣の 大井神社・稲荷神社 を合祀し「前島神社」と改称
- 1907年(明治40年):神饌幣帛料供進社に指定
- 1961年(昭和36年):境内に 御霊神社 を移転遷座(地区戦没者の御霊を祀る)
長い歴史の中で、地域の信仰の中心として存在し続け、現在も多くの人々に親しまれています。
御祭神と御利益
主祭神は以下の三柱です。
木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)
富士山の神様として知られ、農業や芸術の守護神
弥都波都売神(みつはつめのかみ)
水の神様で、豊作と安全の守護神
宇加之御魂神(うかのみたまのかみ)
食物の神様で、五穀豊穣の守護神
この三柱の神々が祀られていることから、農業や水の恵み、五穀豊穣、商売繁盛などのご利益があります。
境内の様子と雰囲気
鳥居
コンクリート造りながらも風格があり、黄色の房が特徴的な注連縄(しめなわ)が掛けられています。
連理の木
榎(えのき)と樟(くす)が根本から結合している連理の木です。
梛(なぎ)
葉が丈夫なこと、裏表の見分けがつかないことから、夫婦円満や縁結びのご利益があるそうです。根元にカラフルな道祖神が飾られています。
手水舎
前島神社で最も華やかなスポットである手水舎。花手水です。自由に書きこめるホワイトボードが設置されていて参拝者が楽しめる場になっています。
拝殿
格式のある木造建築で、黄色の房がついた注連縄が神聖な空間を示しています。左右には神紋が描かれた幕が張られ、厳かな雰囲気を演出。屋根は 銅板葺き で、経年変化により落ち着いた緑青(ろくしょう)色が特徴的です。
本殿
本殿は、銅板葺き の屋根に千木や鰹木が施された伝統的な神社建築。年月を経た銅の緑青が、木造の社殿と調和し、神秘的な雰囲気を生み出しています。側面には「昭和六十三年十月御製」と記され、1988年(昭和63年)に修築されたことが伺えます。
狛犬
石造りながら表情豊かで、親しみやすさを感じさせます。
樟(指定神木)
1989年(平成元年)3月に神社庁から正式に神木とされている樟です。1989年時点で樹齢約400年なので、今は約436年ぐらいでしょうか?
津島神社と秋葉山
御祭神は建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)。小さいながらも美しく整えられています。左隣の石灯籠は秋葉山で火之迦具土大神(ひのかぐつちのおおみかみ)です。
3本の桧(パワースポット)
境内には 3本の桧の木 に囲まれた特別な場所があり、「桧の中央に立つとパワーを感じる」という案内があります。下に足形があり、その通りに乗ると本殿の方を向きます。実際に立った時に風が吹いてきてパワーを感じた方もいました。
命の木
主祭神、木花咲耶姫命の生命力を象徴する神木。参拝すると子宝に恵まれると言われており、上の穴からお賽銭を入れ、下の穴の中にある突起に当たると良いとされています。
ご利益
子授かり、子孫繁栄、夫婦和合、成長発展、地域発展
御霊神社
日清・日露戦争から太平洋戦争まで、明治以降の戦争で亡くなった地域の方々を供養しています。1961年(昭和36年)、藤枝市内瀬戸の岩田神社から移転遷座されています。
境内案内と伝承の取り組み
掲示板
手水舎の過去の花手水や例祭の写真を展示。地域の人々とともに神社が育まれていることが伝わります。
境内マップ
写真付きで、神社の歴史や見どころが詳しく説明されています。通常大きな神社にしか見られないものなので、神社の魅力や役割を理解されている方が伝承の気持ちを持って案内されていることが伝わります。お会いしてみたいです。
親しみやすい案内
木花咲耶姫命をデザインしたイラストとの写真スポットがあり、子どもや若い世代にも親しみやすい工夫がされています。
付属施設と整備
弓道場
「前島神社貴和会弓道場」があり、地域の武道振興の場としても活用されています。
精霊の椅子
境内にはベンチや木製の椅子が適度に配置されています。その中でも精霊の椅子は特別な存在。それぞれに意味があり、御神木に座っての参拝ができます。
御朱印
ありますが、私は未授与です。年中行事の時は社務所で授与できると思いますが、それ以外の期間は以下のお店で授与できるようです。
藤枝キリンヤ
- 店名:藤枝キリンヤ
- 住所:静岡県藤枝市前島1丁目4−8
- 営業時間:9:00~18:00
- 定休日:土・日
地図
こんな方におすすめ
- 農業や食物の守護神を参拝したい方
- パワースポット巡りが好きな方
- 散歩やジョギングのコースに組み込みたい方
まとめ
前島神社は、神域の神聖さを守りながらも、現代の参拝者に寄り添った分かりやすい案内と丁寧な記録により、歴史と信仰を次世代へと伝えようとしています。境内マップや活動記録の展示、参拝者目線での案内など、地域の人々の想いが込められた場所です。
2025年2月9日の朝、フォトウォークの一環で訪れたことで、普段とは違う視点で境内を見渡すことができました。都市化が進む中で、このような神社が地域に根付いていることの大切さを改めて感じました。
熊野神社、八重枠稲荷神社に続き、今回の前島神社で3回目となる「はとばの朝活」での神社参拝。神社巡りを重ねるごとに、地域ごとの特色や信仰のあり方の違いが見えてきます。
静かな佇まいの中に、地域の方々の深い信仰と、それを大切に守り伝えていこうとする熱意が息づいている神社です。歴史を感じながら、穏やかな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。