熊野神社(焼津市)とは?小泉八雲が訪れた神社の御朱印・アクセス・見どころを完全ガイド
以前から気になっていた熊野神社。駐車場がないため、なかなか訪れる機会がありませんでしたが、2024年12月22日、やぎさん主催のはとばの朝活でようやく訪問が実現しました。朝8時に集合し、散歩の目的地として熊野神社を目指したこのフォトウォークは、焼津の歴史と文化を再発見する絶好の機会となりました。
熊野神社は、和歌山県の由緒ある熊野三山とつながりがあり、また明治時代の有名な作家・小泉八雲もこの神社を訪れています。歴史と文化が息づく、魅力的な場所です。
詳細・基本情報とアクセス方法
基本情報
- 名称: 熊野神社(くまのじんじゃ)
- 住所: 静岡県焼津市東小川5-9-3
- 御朱印: 焼津神社で授与可能(詳細は後述)
- 参拝時間:終日可能
アクセス
電車・バスでお越しの方
- 電車: JR焼津駅南口から徒歩約24分。
- バス: JR焼津駅前より「焼津市立病院前 / 大島新田方面行き」のバスに乗車、「JA焼津支店バス停」で下車、徒歩約2分。
地図
由緒・御祭神・御利益
歴史と由緒
熊野神社には、500年近い歴史があります。1526年、この地域のお殿様だった長谷川元長が、和歌山県の有名な熊野三山から神様をお迎えして建てたと言われています。地域の歴史研究によると、当時流行していた時宗という仏教の教えの影響で建てられた可能性もあるそうです。
特に注目したいのは、焼津とも深い縁のある小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)がこの神社を訪れていることです。八雲は明治時代、焼津の漁師町の暮らしや文化に魅了され、多くの作品を残しました。その八雲が訪れ、心を寄せた神社というのも、この場所の持つ魅力を物語っています。
御祭神
熊野神社では、三柱の御祭神(ごさいじん:神社でお祀りしている神様)をお祀り(おまつり)しています。
伊邪那美命(いざなみのみこと)
日本の国土を生み出したとされる女神様です。心身を清める(けがれをはらう)力を持つとされています。
速玉之男命(はやたまのおのみこと)
熊野速玉大社の主神として知られる神様です。世の中の調和と安定をもたらすとされています。
事解之男命(ことさかのおのみこと)
那智大社の主神として知られる神様です。人々の悩みや問題を解決に導くとされています。
ご利益
熊野神社では、次のようなご利益があると言われています。
- 縁結び:良いご縁に恵まれる
- 開運:運気が上向く
- 厄除け:災いから守られる
- 家内安全:家族が安らかに暮らせる
- 心願成就:願い事が叶う
- 問題解決:困りごとが解決する
熊野信仰について
熊野神社は、和歌山県の熊野三山(くまのさんざん)から神様をお迎えして創建されました。熊野三山とは、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の総称で、古くから多くの人々の信仰を集めてきた由緒ある神社です。皇族や貴族たちも参拝した記録が残る熊野詣では、日本の代表的な巡礼として世界遺産にも登録されています。
境内の様子と雰囲気
鳥居と参道
住宅街の中に、まっすぐに伸びる松並木の参道が目を引きます。
この参道は1960年代の航空写真にもその姿が確認でき、当時はまだ田園風景が広がる中に、一本の道として続いていました。現在は住宅に囲まれていますが、整然と並ぶ松並木は、かつての景観を今に伝えています。
参道の両脇には、樹齢を感じさせる松の古木が立ち並び、歴史を重ねてきた神社らしい風格を感じさせます。南北にまっすぐと伸びる参道は、松並木のトンネルをくぐるように歩いていくと、自然と心が落ち着いてくるような不思議な空間です。時代は変わっても、神域への道のりとしての神聖な雰囲気は変わることなく守られているのです。
鳥居
まっすぐに伸びる松並木の参道を抜けると、石造りの鳥居が参拝者を迎えます。朝日に照らされた鳥居の向こうには、木造の拝殿が見え、境内への入り口として厳かな雰囲気を作り出しています。石灯籠も配された境内への入り口は、日常から神域への境界を感じさせる空間となっています。
手水舎
参道脇には、一枚岩から削り出されたような風格ある手水舎があります。自然石を活かした水受けは、周囲の緑と調和しながら、印象的な佇まいを見せています。上屋には白と赤の幕が飾られ、清らかな雰囲気を演出しています。
狛犬
熊野神社の境内には二対の狛犬が鎮座しています。一対は本殿前に、もう一対は境内社の小川御霊神社の前に配置されています。どちらの狛犬も白みがかった石造りで、口や目、爪に赤い彩色が施され、首には注連縄(しめなわ)が巻かれています。細かな彫りの毛並みや表情など、作風にも共通点が見られ、同じ時期に造られた可能性もうかがえます。
社殿
木造の拝殿は、深い軒と瓦屋根が印象的な建物です。格子戸や木組みの細部にまで丁寧な造りが見られ、長年にわたって大切に維持されてきた様子がうかがえます。朝日に照らされた拝殿は、木の素材感と相まって温かみのある雰囲気を醸し出しています。
摂社
那閉神社
船旅の安全を守る神社として知られる那閉神社は、浜当目にある由緒ある神社の分社です。本社である那閉神社は約1500年の歴史を持つ焼津を代表する古社で、漁業関係者からの信仰が特に厚い神社です。
境内の中でも特に美しい空間を作り出している場所で、特に秋には周囲の紅葉が社殿と調和し、趣深い景色を見せてくれます。この私も感じた風景の美しさが評価されたのか、2023年公開の映画「ちひろさん」でもロケ地として選ばれました。
その他の境内社
宗像神社(むなかたじんじゃ)
市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)を祀る神社です。
津島神社(つしまじんじゃ)
須佐之男命(すさのおのみこと)を祀る神社です。
稲荷神社(いなりじんじゃ)
宗迦御魂神(うかのみたまのかみ)を祀る神社です。
小川御霊神社(こがわみたまじんじゃ)
小川地区出身の英霊を祀る神社です。立派な狛犬が鎮座しており、地域の人々の大切な心の拠り所となっています。
御神木
楠
小川御霊神社の左脇裏に、立派な楠の御神木が佇んでいます。長い年月をこの地で過ごしてきたその姿は、神社の歴史を見守り続けてきた証人のようです。静かな境内で、自然の力強さを感じることができます。
小泉八雲の足跡
社殿の裏には、八雲と熊野神社にまつわる興味深いエピソードが残されています。明治35年(約110年前)、八雲は焼津神社から海蔵寺へ向かう途中、この熊野神社に立ち寄りました。当時の境内では地面から怪しい蒸気が立ち上るような現象があり、八雲はそれを「魔だのオ(まだのお)」と表現して不思議がったという記録が残っています。
さらに、八雲の略歴や焼津での生活についても詳しく記されており、焼津の文化と深く関わった文豪の足跡を今に伝えています。
御朱印
「熊野神社」の墨書きに加え、小川鎮座(こがわちんざ)を表す朱印が押された御朱印が授与されています。小川(こがわ)地区に鎮座する由緒ある神社であることを示す印であり、右側には「焼津小川鎮座」の文字も添えられています。
通常の御朱印授与は焼津神社の社務所で行われています。熊野神社での直接の授与も特定の日に行われることがありますが、日程は年によって異なる可能性があります。詳しい授与時間や対応については、焼津神社の社務所へお問い合わせください。
年中行事
例祭
毎年10月17日に行われる熊野神社の最も重要な祭典です。
こんな方におすすめ
歴史や文化に興味がある方
熊野三山から勧請された由緒ある神社として、また小泉八雲が訪れた神社として、焼津の歴史と文化に触れることができます。数々の境内社からは、地域の人々の信仰の深さも感じられます。
ゆっくりと散歩を楽しみたい方
住宅街の中にありながら、参道に一歩足を踏み入れると、松並木が作り出す静かな空間が広がります。古くからその姿を残す松並木の参道は、ゆっくりとした時間を過ごすのにぴったりです。
写真撮影を楽しみたい方
まっすぐと伸びる参道と松並木が美しい構図を作り出します。境内には風格ある社殿や狛犬、御神木の楠など、様々な被写体があり、訪れる季節によって異なる表情を見せてくれます。中でも摂社の那閉神社の前は、境内の美しさが凝縮されたような場所で、2023年公開の映画「ちひろさん」のロケ地としても選ばれています。作品の中でも印象的なシーンの舞台となった場所で、神社の魅力を実感することができます。
まとめ
熊野神社は、住宅街の中にまっすぐと伸びる松並木の参道が印象的な神社です。1526年に長谷川元長によって創建され、熊野三山から神様をお迎えした由緒ある神社として、500年近い歴史を刻んでいます。
境内には本殿のほか、那閉神社や小川神社といった境内社も祀られており、焼津の漁業文化や地域の歴史との深いつながりを感じることができます。特に、本殿と小川御霊神社それぞれの前に配される二対の狛犬は、注連縄を巻くという特徴的な姿で参拝者を見守っています。
明治時代には小泉八雲も訪れたこの神社は、松並木の緑に囲まれた静かな佇まいの中に、焼津の歴史と文化を今に伝えています。直線的に伸びる参道を歩きながら、ゆっくりと参拝するのがおすすめです。
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