本との新しい出会い方 – 焼津PORTERS読書部が提案する「自由な読書」の形
焼津港の風景を背景に、新しい読書スタイルを体験できるイベントが開催されています。旧漁具倉庫をリノベーションした複合施設「焼津PORTERS」。その一角にある総合受付&コミュニティスペース「to.mo.ni.」で行われている「PORTERS読書部」のvol.6に参加してきました。
PORTERS読書部とは?
自分が読みたい本を持って集まり、焼津PORTERSの敷地内の好きな場所で各々が読書し、最後に感想をシェアする、ただそれだけのシンプルな読書会です。形式に縛られず、自由なスタイルが魅力です。
「完璧」から解放される読書体験
「本は最初から最後まで読まないといけない」という思い込み。これが多くの人を読書から遠ざけているのかもしれません。
この読書会を主催するto.mo.ni.代表の橋本奈々実さん(以降、ななみさん)も、かつては活字本をほとんど読み切った経験がなかったと言います。
しかし、読書部での活動を通じて、本を無理なく楽しむことを学んだそうです。ななみさんの「読書部の場だけで読み進めてきている本がもうすぐで終わりそうなんです」という一言には、読書の楽しみ方を見直すヒントが隠されています。
空間が育む居心地の良さ
焼津PORTERSの魅力は、古い漁具倉庫の無骨な面影と、温もりある木材が調和した空間です。ラタンチェアや茶箱が心地よさを演出しています。
一杯の温かいドリンクを片手に本を開くひととき。この日提供されていたのは、みかんの甘さと塩気が絶妙な特製のホットドリンク。漂うローズマリーの香りが冬の読書時間をさらに彩っていました。
それぞれの本との出会い
参加者が持ち寄った本が並ぶテーブルは、それぞれの興味や個性を感じさせる場。装丁やタイトルをきっかけに交わされる会話や感想が、自然とコミュニティを作り出していました。
今回私が手に取ったのは、伊与原新さんの『藍を継ぐ海』。購入後、別の本を優先して読んでいたので手をつけずにいました。短編集で1話が短いですが、時間内に読み終えることはできませんでした。しかし、続きが気になるところまでは読み進めることができ、今後読み進めていく良いきっかけになりました。
マエクミさんの選書
参加者のマエクミさんが選んだのは、松浦弥太郎さんの『大切に抱きしめたいお守りのことば』。普段は物を増やさないために図書館で本を借りることが多いそうですが、今回は珍しく静岡市のひばりブックスで購入されたそうです。ひばりブックスの素晴らしい選書が購入のきっかけとなり、このエピソードには他の参加者も共感していました。本書には、読者に寄り添う温かい言葉がたくさん収められており、特に心に響いた言葉が見つかったとのことです。
やぎさんの選書
やぎさんが今回選んだのは、先輩に紹介された北野貴大さんの『仕事のモヤモヤに効くキャリアブレイクという選択肢 次決めずに辞めてもうまくいく人生戦略』。キャリアブレイクとは、一時的に仕事を離れ、休息や自己研鑽、ライフイベントへの対応などに充てる期間を指します。やぎさんは「読んでみると身体を壊したり、行き詰まった末にキャリアブレイクを選んだ経験談が多い印象を受けた」と話し、そうなる前に自らの行動を考えたいとの意見を共有していました。
ななみさんの選書
ななみさんは、加藤優一さんの『銭湯から広げるまちづくり』を選びました。PORTERS読書部の初回vol.1から読み進めています。この本の舞台である高円寺の小杉湯を訪れるとともに、連携したまちづくりの場にも触れる機会があったそうです。たとえば、「女将」という肩書きで場を盛り上げる若い世代が活躍する「まめくらしの高円寺アパートメント」の事例を知り、本から得た知識と現場の温度感を共有してくださいました。
今回の読書会では、選んだ本を通して、それぞれの価値観や経験が共有され、多様な視点が広がる時間となりました。
本と人が出会い直す場所
焼津PORTERSの空間が、この読書体験をより特別なものにしています。港を望む大きな窓、産業の歴史を感じさせる内装、そして木の温もりが調和する居心地の良い空間。
「本は何よりも自由なメディア」。PORTERS読書部での時間は、本と人との関係をより柔軟で豊かなものにしてくれるかもしれません。
参加方法
- 場所:to.mo.ni.(焼津PORTERS内の総合受付&コミュニティスペース)
- 参加費:1ドリンク制
- 参加方法:予約不要(参加連絡推奨)、読みたい本を持参
次回以降の開催予定などの最新情報は@yaizuportersでご確認ください。@to.mo.ni.yaizuとともにフォローが便利です。
まとめ
読書をもっと自由に楽しむために
焼津PORTERS読書部は、「完璧に読まなくてもいい、本を自由に楽しもう」という新しい読書スタイルを提案しています。この空間で過ごすひとときは、本との出会いをリフレッシュし、自分のペースで読書を楽しむきっかけを与えてくれます。
漁具倉庫の面影を残した焼津PORTERSの魅力的な空間、個性的な本たちとの出会い、そして季節に合ったドリンクが彩る時間を、ぜひ一度体験してみてください。
写真提供
やぎさん @meesan_11
今回の参加者の一人で、私の地元を中心に活動しているフォトグラファー。写真を通じて地域の魅力を発信しています。
彼女が主催している「はとばの朝活」(@hatoba_810) は月に一度開催されるイベントで、気軽にお散歩とモーニングを楽しむことができます。誰でも参加可能で様々な方と交流するきっかけにもなるイベントです。
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